合流式下水道の現状と課題
下水道の流れ方には、下の図のように、家庭や工場から排出された汚水と雨水を同一の下水道管で集めて下水処理場で処理する方式(合流式)と、汚水と雨水を別々の下水道管で集めて、汚水は下水処理場で処理し、雨水は雨水管から直接海や河川へ排除する方式(分流式)があります。
本市の下水道事業は、昭和27年に旧下水道法による事業認可を初めて取得しました。当時の下水道法は、「浸水を防ぐ+水洗便所の促進」が主な目的で、早い時期から下水道整備に着手した都市の多くが、都市化の急速な発展に対応するため、汚水と雨水をあわせて排除する合流式下水道を採用し、堺市も当初は合流式下水道で整備を進めていました。
しかしながら、合流式下水道では、一定量以上の降雨で一時的に下水道管へ流れ込む水の量が増えてしまうと、下水道管や下水処理場の処理能力を超えてしまうため、未処理の下水は公共水域の海や川へ放流されます。
下水道管の中には、汚水が公共水域に極力流れ出ないように一定の高さの堰(せき)を設置していますが、初期の降雨では下水道管内にたまっていた管の付着物や雨水混じりの汚水が堰を超えて吐口(はけぐち)から放流されてしまいます。
平成13年には、海岸に未処理下水が原因で流出した白い油の固まり(オイルボール)が漂流し、合流式下水道からの雨天時の未処理下水の放流が社会問題になりました。
合流式下水道緊急改善事業の創設
合流式下水道からの雨天時の未処理下水について対策をとるべく、国も動き始めました。
具体的には、平成13年6月に国土交通省より「合流式下水道改善対策検討委員会」が設立され、平成14年度に「合流式下水道緊急改善事業」が創設され、対策施設の整備など合流改善に取り組む地方公共団体に対して、かかった費用の一部を国が財政的に支援することが示されました。
さらに、平成15年の下水道法施行令の改正では、合流式下水道を採用している区域は、原則10年間で未処理下水の流出削減に向けた対策を完了させることが義務付けられました。
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更新日:2023年04月03日